排尿(困難)症状
症状
- 尿が出にくい
- 尿の勢いが弱い
- 尿をするのに時間がかかる
- 尿が出ない(尿閉)
排尿症状とは、膀胱にたまった尿を出すことに問題がある症状で、「尿が出にくい」、「尿の勢いが弱い」、「尿をするのにお腹に力をいれる」などがあります。
排尿にかかわる症状には、ほかにも蓄尿(ちくにょう)症状、排尿後症状があります。蓄尿症状は、尿を溜めることに問題がある症状で、「尿が近い」、「夜間排尿のために起きる」、「尿がもれる」などです。また、排尿後症状とは、排尿した後の症状で、「残尿感:排尿後にまだ膀胱に尿が残った感じ」、「排尿後尿滴下:排尿後下着をつけてから、尿が少しもれてくる」といったものです。多くの方が、様々な排尿の問題を抱えていますが、通常はこれらの症状が複合してみられます。
「尿が出にくい・尿の勢いが弱い・尿をするのにお腹に力を入れる」などの排尿症状は、膀胱から尿道出口への尿の通過が妨げられる場合(通過障害)、あるいは膀胱がうまく収縮できない(膀胱収縮障害)場合に起こります。通過障害で最も頻度の高いものは男性における前立腺肥大症で、膀胱収縮障害は男女とも神経因性膀胱で起こります。また、膀胱収縮障害は、メタボリック症候群に伴う膀胱の血流障害や加齢による膀胱の老化現象としてみられることもあります。
症状がすすむと、尿が全くでない、「尿閉(にょうへい)」の状態になります。
膀胱の出口より外側の前立腺、尿道に尿の流れをさまたげる状況があれば尿閉の原因となりますが、ほとんどの場合の原因は前立腺肥大症です。したがって、尿閉が出現するのは原則として男性に多いということになります。肥大した前立腺が膀胱の出口をふさいでしまうことが原因の大部分です。前立腺が大きい人の方が尿閉になりやすい傾向があります。長時間の座位、飲酒、時には咳止め薬、感冒薬、精神安定剤、不整脈のくすりなどが誘因になることがあります。
前立腺肥大症では、尿が出にくい、尿の勢いが弱い、などの症状を改善するとともに、この尿閉を予防することが治療の目的となります。適切な治療法、治療期間にもかかわらず尿閉が繰り返されるときには、肥大した前立腺の程度によっては手術が必要となります。
前立腺癌が進行した時にもこのような状態になることがありますが、最近は早期に見つかることが多いことと、適切な治療が行われることなどでほとんど見られません。
膀胱の働きを調整している神経が障害されて尿閉になる場合としては、直腸がんや子宮がんの手術の後の状態があります。したがって、このような時には、男性も女性も尿閉になることがあります。がんの広がりによっては神経の働きを残すこともできるため、多くの患者さんでは尿閉になることは少ないといえます。
膀胱内に尿が多量にたまっているに尿がまったく出ない(尿閉)ときには、緊急処置として尿道からカテーテルを挿入して、膀胱にたまっている尿を排出させる必要があります。尿を完全に排出させたら、すぐにカテーテルを抜いてしまう方法(導尿といいます)と、しばらく尿道にカテーテルを挿入したままにする方法(尿道カテーテル留置といいます)があります。いずれにしても、後日泌尿器科専門医の診察を受け原因検索をすることが推奨されます。
以上のように、排尿(困難)症状は、男女ともに起こり、原因としては様々なものがあります。症状から原因を知ることは難しいので、生活に支障がある、困るような症状がある場合には、いしだクリニックきたすずにご相談していただければ、原因を明らかにして、薬物治療を含む治療法や、生活の注意点などについてお話しいたします。
また、最近は前立腺がんの罹患率が急速に増えています。男性で排尿困難のある場合には、前立腺がんのチェック(血液検査で前立腺特異抗原:PSAの測定を行う)も受けることをお勧めします。